News Release

2017.03.06

月刊プロパティマネジメント3月号に当社の紹介記事が掲載されました。

地主プライベートリートが150億円で運用開始
5年で1,000億円規模目指す


地主アセットマネジメント(以下、地主AM)は2017年1月、底地にのみ投資する私募REIT「地主プライベートリート投資法人」(以下、地主リート)の運用を開始した。地主AMは東証一部に上場する不動産開発会社である日本商業開発の100%子会社。日本商業開発はリーマンショック以前から底地投資に着目し、“JINUSHIビジネス”としてこれまでに商業施設やホテルなど80物件・1,000億円以上の底地案件の開発・売却実績がある。

底地投資のメリットは大きく3つある。まず土地のみの投資とすることで建物保有に係るリスクや、管理・運営コストの負担を回避できる点が挙げられる。加えて、テナントが土地を賃借し、建物を建設・保有することから、長期安定的な収益が見込める。そして最後に、事業用定期借地権による賃貸借契約を活用することで、契約満了後はもっとも流動性が高く、また最有効使用が可能な更地の状態で土地の返還を受けられるという強みがある。このような地主保護の仕組みにより、日本商業開発は底地商品において創業以来、リーマンショックの時期も含めテナントから賃料の減額や退店を受けたことがないとのこと。

投資法人の初期ポートフォリオは9物件・約150億円の規模。食品スーパーのライフ阿波座駅前店(大阪市西区)など、取得価格ベースで85%をスーパー底地が占め、残りの15%はガソリンスタンド底地が入る構成。事業用定期借地権による賃貸借契約の残存期間は平均約23年となっている。組入れた底地の平均利回りはNOI(純収益)ベースで約4%程度。巡航のLTV水準は30%程度で、その場合の投資口利回りはNOI4%前後を見込む。

第一次募集では地方銀行のほか、生損保やリース会社などが投資し、スポンサーである日本商業開発も一部セイムボート出資を行っている。「募集活動のなかで投資家からは、建物保有のリスクを排し、底地への投資・賃貸に徹するという地主リートのコンセプトに多くの共感をいただいた。トラックレコードを確認したのちに参加したいという投資予備軍も数多い」と地主AMの代表取締役社長 西羅弘文氏は手ごたえを話す。期先の投資案件確保も順調で、スポンサーからのパイプラインだけでも現時点で19物件・330億円程度を既に見込んでいる。このなかには東京メトロ外苑前駅から徒歩2分の青山通り沿いにあるブライダル施設「クリスタル南青山」の底地など都心の希少立地案件も複数含まれている。

「テナントクレジットは無論大事だが、もっとも重要なのは将来の人口動向などを検証し、需要が集中する“元気な土地”に投資すること。それに加え制度として地主保護の事業用定借契約を締結することで長期安定収益を実現する」と西羅氏。案件の金額規模は問わず、最低1億円程度からも検討の土台にのる。このあたりは建物が付属せず、投資ストラクチャーがシンプルであるからこそなし得るものといえよう。

2018年1月には約300億円の規模で第二次募集を予定する。3年後には約600億円、5年後は1,000億円規模まで資産規模を拡大させていく狙い。

西羅氏は最後に「総合型ではなく底地のみに徹することで他との差別化を図り、着実な運用実績によって市場のトップランナーの位置を確立し、より一層の知名度向上につなげ情報ネットワークの拡大を図りたい。学校や病院、メモリアルホールなど新しい物件カテゴリーの底地案件も増えてきた」と抱負を話す。

J-REITと私募ファンドの弱点をカバーする商品として私募REITが注目されて久しい。しかし各社の利回りやポートフォリオはどこか似たり寄ったりの印象を受けることも確かである。予定調和と化したいまの私募REIT市場に一石を投じる意味でも、商品特性が明確な地主リートの今後の動きは大いに注目される。

 

写真/組入れ物件の一つ「西友豊玉南店」(東京都練馬区)